ゴー宣DOJO

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切通理作
2014.12.25 04:38

道徳の教科化という矛盾

門弟の人から、この間の道場の後での僕の挨拶が良かったから、
それ書いて下さいと言われたのですが、
自分でも何を言ったのかあんまり憶えていません。

 

ただ、こないだのテーマの道徳にせよ、
戦争にせよ、
ゴー宣道場のテーマというのは
「お題を与えられて、その解を最短距離で出す」
というようなものではないんだな……と、
改めて感じた……というような事を言った気がします。

 

こないだ、
たまたまつけていたテレビに西部邁さんが出ていて、
道徳教育の学科化について話していたので、
番組が終わるまで見ていました、

 

ボランティアを教科化するという話があるけれども、
ボランティアは「奉仕」という意味であり、
それは本質的に徴兵と同じである。
大人がそれを進んでしてないのに、
子どもにばかりそれを期待するのはいかがなものか……
という主旨の発言をしていました。

 

また教師が話す中身よりもそのふるまいを見て生徒が学ぶのが
道徳であり、尊敬を強要したり、
言っている事を刷り込む事が道徳ではない……とも言っていました。

 

つまり道徳というのは、
言われた事を行儀よくこなすという事とは
根本的に違う態度の事であり、
道徳の教科化というのは、
それ自体矛盾なのではないかという提起です。

 

大人が社会的主体を身につけていないのに、
子どもに対して盲目的に従わせる
テクニックだけ身につけさせても、
表面だけ態度のいいだけで何を考えているのかわからない、
不気味なモンスターのような人間を
育てるだけなのかもしれないなと、
それを聞いていて思いました。

 

たしか、こないだの道場でも現場の先生が、
同じような事を懸念していたはずです。
その予感は、やはり正しいのかもしれません。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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